私の専攻はEthnic Studies。日本語で何というのかと聞かれてもエスニック・スタディーズとなるだけであまりいい言葉が思いつかない。それもそのはず。日本の大学には人種を中心にした学科はない。
日本で、アメリカに留学したらエスニック・スタディーズを専攻する、といったらなんだかおいしそうだね」と言われたくらいだ。でもそれは仕方がない。アメリカでも新しい分野なのでこちらに来てからもよく具体的にはどんなことをしているのか聞かれる。
分野として幅広く、社会科学全体のあり方を問う、という姿勢をとっている。これまでの社会学、歴史学、文化人類学など、伝統的な分野によって人種を含む様々な「知」が構築されてきた。しかし「知」が構築される際、人種やエスニックグループに押し付けられている、社会が作り出している不平等やその不平等を作り出している社会システムを見逃していることに対して、伝統的学問分野を批判的に見ようとするのが特徴だ。
例えば、文化人類学では長い間「黒人の文化を研究することによって貧困の文化が明らかになる」と言われてきた。つまり、黒人の文化は「白人」文化とは違って、片親が多かったりギャングになったりする確率が高いから良い職につくことが出来ず、貧困が保たれるという定説があった。
しかし、この定説には明らかに、人ではなく動産として扱われていた奴隷制時代の損失や雇用側だけでなく社会全体の人種差別などの視点が抜け落ちている。このような人種やエスニックグループを基本として、社会にある様々な不平等を作り出す「見えない」システムを「見える」ように指摘しようというのがエスニック・スタディーズの特徴だ。
日本にこのような学問分野がないからといって、人種問題がないというのは大きな間違いである。日本でも、第二次世界大戦中に日本が強制的に連れてきた日本人以外のアジア人や北海道に住むアイヌ民族、急増する海外労働者など人種の問題はたくさんあるのに見えなくされている。
いつかUCSD(University of California, San Diego)で培った眼鏡で「見える」ようになった暁には、日本社会にも貢献できるような研究者になりたいと思っている。
さて、今学期もそろそろ終わり。9月中旬から学校が始まって3ヶ月間あっという間に過ぎた。でもその間にたくさんの仲間も知識もそして「お肉」も増えた気がする。これからあと5年くらい、最後のだけはこれ以上増えないことを願う。

